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皮膚リンパ腫:菌状息肉症(きんじょうそくにくしょう)

Q12新しい治療法はありますか?

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 2011年以降、従来の抗がん剤とは作用機序が異なる多くの薬剤が皮膚T細胞リンパ腫に対して承認されてきました。大きく分けると分子標的薬と抗体薬に分類されます。分子標的薬はリンパ腫細胞の増殖やリンパ腫細胞を抑える免疫などに関連した遺伝子の働きを調節することにより、腫瘍細胞の増加を抑えるものです。ベキサロテン(レチノイド誘導体)やボリノスタット(ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬)はいずれも内服薬であり、自宅で治療できる薬です。抗体薬はリンパ腫細胞表面にある分子に対する抗体であり、リンパ腫細胞に結合して、リンパ腫細胞を破壊します。点滴で使う薬であり、ポテリジオ(抗CCR4抗体)やデニロイキン ジフチトクス(抗CD25抗体)が皮膚T細胞リンパ腫に承認されています。また、ブレンツキシマブ ベドチン(抗CD30抗体)がCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫に対して承認されていますが、進行した菌状息肉症ではCD30陽性のことがあるため、他の薬剤の効果がない進行した菌状息肉症に対しては治療選択の一つになりえます。
 これらの新しい薬剤は抗がん剤と異なり、吐き気や脱毛などの副作用は少ないですが、薬剤ごとに特徴的や副作用がありますので、抗がん剤と比べて一概に安全性が高いとは言えず、副作用に注意しながら使用します。

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