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汗の病気―多汗症と無汗症―

Q11A型ボツリヌス菌毒素製剤の局所注射療法はどうですか?

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 ボツリヌス菌毒素はボツリヌス菌が産生する神経毒素でA~G型の7種があり、この中でA型ボツリヌス毒素(BT-A)は最も効率よく交感神経から発汗の指令をだすアセチルコリンを抑制します。手のひらや腋窩に2cm間隔で局所注射しますと1週間程で汗の量が減少し、約6ヶ月間持続します。BT-Aの投与量が少ないと効果が弱いので、重症度にあわせた投与量が必要です。腋窩、手掌、足底、頭部顔面多汗症全てにBT-Aの局注療法が第2選択肢になっています。BT-A局注療法は、腋窩に対して国内外で非常に推奨度の高い治療であり、本邦においても2012年11月より重度腋窩多汗症に対して保険適用となっています。ただ、手掌、足底、頭部顔面に対しては、日本のみならず欧米でも保険適用にはなっていませんので数万円以上の高額な医療費がかかります。この治療法の問題点は注射時の痛みと手の筋力低下がありますが、痛みに対しては局所麻酔やアイスパックでの冷却を併用しております。ハシやペンが持ちにくいなどの筋力低下は通常一過性で自然に治ります。

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