Q1250歳、女性ですが、足の親指の爪が濁って、分厚くなり、曲がって生えています。靴を履くと痛みがあります。
爪甲鉤彎症
足の親指(第1趾)の爪が厚くなり、濁り、表面がでこぼこし、前方に鉤の様に彎曲している状態を爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)といいます。
爪甲鉤彎症は第1趾に対する外傷などで爪甲が脱落したり、医師による抜爪などの手術の結果生じます。爪が完全には抜けなくとも、不完全な爪甲の脱落でも生じることがあります。先端の狭小な靴やハイヒールの着用は不完全な脱落を起こす原因となります。靴の内面と爪甲の先端の摩擦は、坂を下るときに起きることがありますが、爪甲下の出血を生じたりしますが、やはり不完全な爪甲の脱落の原因となります。爪甲鉤彎症は第1趾爪に起こりやすいのですが、他の趾爪にも生じることもあります。50歳ぐらいから頻度は増加しますが、20歳代でも認められます。
爪甲鉤彎症の爪甲をよく観察すると爪甲と側爪郭の皮膚が繋がっていません。さらに、第1趾先端の皮膚が盛り上がっていることが判ります。また、分厚い爪甲の下に細い紐を通すことができます。爪甲はその下にある土台(爪床部)から浮き上がっているのです。爪甲が脱落すると、爪甲がないために第1趾の先端が次第に盛り上がり、爪甲が伸びてきたときに、隆起した第1趾先端部が爪甲が伸びるのを妨害するために起きるのが爪甲鉤彎症です。
治療は外国の教科書では爪甲を削る方法や抜爪、爪甲を作る爪母を破壊する方法などが記されています。高齢者では爪甲を削って、隆起を平坦にする方法で、日常生活に支障はなくなります。フットケアサロンでも行っているところがあります。しかし、爪甲の見栄えはよくありませんし、1年ぐらい経つと元のような状態に戻ります。爪甲鉤彎症の爪甲を除去(抜爪)すると、正常な爪甲が再生されます。しかし、途中まで伸びてくると先端部の隆起部に妨害されて、再び爪甲鉤彎症になってしまいます。したがって、先端部の隆起部が軽度で、押し下げることが可能な場合には、日中は絆創膏を使って先端部の隆起部を下方に押し下げるように牽引することで、正常な状態に戻すことが可能です。先端の隆起部が硬い場合には、第1趾の末節骨の一部を削って平坦化する手術を行います。手術後は先端が隆起しないように、日中は絆創膏による牽引を行います。治癒するまでの間は第1趾先端に力の加わる運動は禁止です。



