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膠原病と類縁疾患

Q1限局性強皮症とはどんな症状をきたす病気ですか?

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 限局性強皮症は「限局した領域の皮膚に境界明瞭な硬化が出現する病気」です。病変は頭部、顔面、四肢、体幹など、全身の皮膚のどの部位にも生じ得ます。形状は円形~楕円形、線状~帯状などさまざまで、大きさも数cm程度のものから数10cmにおよぶものまで、多様性があります。硬くなった皮膚はやや光沢を帯びて黄色みがかって見えることが多いですが、色素沈着を伴って茶色っぽく見えることもあります。また、病変全体、あるいはその辺縁の部分が淡い紅色になり、わずかに熱感を伴うこともあります(炎症を反映しています)。全く自覚症状を伴わないものから、ピリピリとした痛みを断続的に感じるもの、衣類と擦れるだけでヒリヒリとした強い痛みを感じるものまで、自覚症状も非常に多彩です。頭皮や眉などの有毛部に病変が生じた場合、多くの場合は脱毛を伴います。

 限局性強皮症は皮膚が硬くなる病気と説明しましたが、これは典型例の場合であって、実際にはあまり皮膚の硬さは目立たず、色素沈着(茶色っぽくなります)や色素脱失(白く色が抜けた感じになります)あるいは皮膚の萎縮(皮膚が薄くなります)のみで硬化がはっきりしない病変を呈することがあり、その外観は極めて多彩です。

 限局性強皮症の病変は主に皮膚に生じますが、ときに深部まで病変がおよび、皮膚の下にある脂肪組織、筋膜、筋肉、腱、骨・関節、神経に病変がおよぶことがあります。脂肪組織に病変がおよぶと皮膚が少し陥凹した感じになります。筋膜・筋肉や腱・関節に病変がおよぶと、筋肉が突っ張る感じが出てきたり、関節が動かしにくい、あるいはまったく動かなくなってしまう場合があります。神経に病変がおよぶと、しびれや痛み、筋肉の部分的なけいれんなどが生じることがあります。また、頭頸部に病変が生じた場合、てんかん発作、脳波異常などの脳病変、ぶどう膜炎などの眼病変、歯列の乱れや歯牙萌出異常などの歯病変を伴うこともあります。このように、「皮膚が硬くなる」というイメージとは一見結びつかないような症状を呈することもありますので、注意が必要です。

限局性強皮症


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