Q7皮膚筋炎とはどういう病気ですか?
病気について
主に皮膚と筋肉に炎症が起きる病気です。皮膚症状が無い場合は多発性筋炎と呼ばれますが両者は同一疾患です。平成22年度の特定疾患認定患者数は強皮症と合わせて42,233人でしたが、患者数は年々増加傾向にあります。男女比は1:2.6です。この病気は全ての年代に見られますが、好発年齢は小児期(5~14歳)と成人期 (35~64歳)にピークを持つ2峰性分布を示します。原因は不明ですが、免疫異常、ウイルスなどの感染、悪性腫瘍、薬剤の影響、遺伝的素因が考えられています。成人の皮膚筋炎では30%位の方に胃がんや肺がんなどの内臓悪性腫瘍を合併します。
症状について
上眼瞼部の紫紅色の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹 図9)、手指関節背面の盛り上がった紫紅色の丘疹(ゴットロン丘疹・徴候 図10)、手指の爪の周囲の紅斑(爪囲紅斑 図11)、背部や上腕の褐色や白色と血管拡張と皮膚の萎縮(多形皮膚萎縮 図12)が特徴的です。前頚部~上胸部、肩・上背部にも紫赤色の紅斑が見られることもあります。機械工の手指に出来る職業性変化に似た症状(メカニックスハンド 図13)も知られています。この病気では「筋症状のない皮膚筋炎」という病型がありますので、皮膚症状の診断がとても大切です。筋炎は頸部、上腕、大腿など体幹に近い筋肉におきやすいため、しゃがみ立ちが困難、風呂の出入りがつらい、階段が昇りにくい、洗濯物が干しにくい、髪がとかせない、頭を枕から持ち上げられない、などの症状がみられます。嚥下筋や構語筋の障害があると嚥下障害や鼻声を伴うこともあります。間質性肺炎は30-40%の患者さんに合併し、咳や息切れ、呼吸困難などの症状を認めます。多くは慢性ですが、ときに急激に進行する急速進行性間質性肺炎という命に関わる重症の肺炎が起きることがあります。まれですが心臓では心筋炎のため、不整脈や心不全を起こすこともあります。皮膚症状だけの皮膚筋炎やARS症候群といって肺線維症と筋炎症状が主体の病型もあり、皮膚症状が診断に重要な病気です。
治療について
急性期には安静にし、筋肉にできるだけ負担をかけないようにします。ステロイド薬が有効で、筋症状が強い場合、体重1kgあたりプレドニゾロン換算で1mg/日を目安とした量の治療を1ヶ月程度行い、筋力の回復、検査の値を見ながらゆっくりと減量します。必要に応じて免疫抑制薬が使用されます。最近これらの治療でも効果が得られない場合に、γグロブリンの静脈内注射療法が保険の適応になりました。リハビリは、筋原性酵素(CK値)が正常値に近くなり、筋力が順調に回復していることを確認してから、徐々に開始します。




