Q17ウェゲナー肉芽腫症
病気について
ドイツのWegener医師が初めて報告したためウェゲナー肉芽腫症と呼ばれています。上気道、肺、腎の3つの臓器に主な症状が起きますが、全身の血管に炎症が起きる病気です。原因は不明ですが、免疫異常が関係していると考えられています。認定患者数は平成22年度の集計で約1,671人と日本人には少なく白人に多い病気です。発症年齢は男性30~60歳代、女性は50~60歳代が多いようです。血液中に抗好中球細胞質抗体(ANCA)の一種のC(PR-3)ANCAという自己抗体が陽性になります。この抗体が直接病気の発症や進行に関わっていると考えられています。感染症が病気の発症や増悪因子となるため、注意が必要です。遺伝はしません。
症状について
発熱、食欲不振、倦怠感、体重減少、多発性関節痛、多発性神経炎などの全身症状とともに上気道、肺、腎の壊死性肉芽腫性血管炎が出現します。上気道症状には、膿性鼻漏、鼻出血、難聴、耳漏、耳痛、視力低下、眼充血、眼痛、眼球突出、咽喉頭痛、嗄声などがあります。肺症状は、血痰、咳嗽、呼吸困難、肺浸潤などがあります。腎症状は、血尿、乏尿、浮腫などがあります、皮膚では、紫斑、血疱、皮下結節、皮膚潰瘍、壊疽などの血管の炎症による症状が起こります(図27)。
治療法について
なるべく初期に、免疫抑制剤、副腎皮質ステロイド剤を主体とする免疫抑制療法を施行します。早期治療により、病気が完全に落ち着く(寛解)例もみられます。病気の活動を知る目安として、血液中のC(PR-3)ANCAの値の推移が参考になります。また、全身症状の落ち着いた後に、鞍鼻や視力障害などの後遺症が残ることもあります。
