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膠原病

Q16大動脈炎症候群(高安動脈炎)

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病気について

 大動脈やそこから分かれる大血管に炎症が生じ、狭窄や閉塞が生じる病気です。わが国の高安右人教授が1908年に初めて報告しましたので高安動脈炎と呼ばれています。平成22年度の調査では全国に約5,438名の患者がいて、毎年およそ200名の方が新たに発症していると推定されています。患者さんの9割は女性で15歳から35歳の若い女性に多くみられますが、まれに10歳未満で発症する場合もあります。原因は不明ですが、なんらかの感染症を契機にして発症し、血管の炎症が持続すると推測されています。遺伝病ではありません。

症状について

 初期症状は、発熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少などで始まります。その後、中枢神経症状としては、めまい、立ちくらみ、失神発作、脳梗塞、失明が起きる場合があります。また、上肢では、腕が疲れやすい、脈が触れない(このため脈なし病とも呼ばれたことがあります)、など多様な症状が出現します。また約3分の1の患者さんに弁膜症が合併します。腎臓の血管が傷害されると腎炎が発症します。下肢の血管障害では歩行困難になる方もいます。血管の炎症により血管壁が傷害され、合併症として高血圧症が発症しやすくなります。

治療法について

 動脈の炎症を抑えるためステロイドが有効です。一緒に血栓予防薬を使います。炎症が強く、ステロイドが減らせない場合は、免疫抑制剤を使うこともあります。血管のつまりが強い場合には、血管のバイパス手術をすることがあります。大部分の患者さんはステロイドに反応して炎症は消失します。現在は画像診断や治療の進歩で予後はとても良くなっています。

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