Q21家族が膠原病といわれました。どのような注意が必要でしょうか。
膠原病は長期間にわたって闘病が必要な慢性の病気です。患者さんが病気と共存して質の高い人生を送るために、ご家族や周囲の方々の理解と援助が必要です。
病気を正しく理解する
膠原病は自己免疫という機序で、色々な臓器に慢性の炎症が起きる病気です。また、病名が同じでも一人一人で病状が大きく異なります。病気の症状には波があり、元気そうに見えても本人はとても辛いことがありますのでご家族の理解と協力が不可欠です。夫の不理解で怠けていると誤解され離婚された方もおられます。治療はステロイド薬の内服が中心ですが、勝手に増減したり中断することは危険です。また感染症を家族が持ち込まないことなど、合併症の予防には細心の注意が必要です。最近は医学の進歩により新しい治療方がどんどん開発されていますので、ご家族の治療薬に対する正しい知識も重要です。
病気に対する取り組み方
病気と共存しながら、なるべく普通の生活を送ることを目標とします。生活を楽しみながら、主治医の許可があれば何でもやってみてよいと思います。病気の状態により何でもできるわけではありませんが、人と同じことが出来なくても、他の方法で人生を楽しんで下さい。家族の支援に加えて、同じ病気にかかっている大勢の仲間もいます、患者会や勉強会を利用して自分ひとり孤独にならないで下さい。孤独になると悪い方向にばかり考えが行ってしまいます。
日常生活
規則正しい生活がポイントです。過労を避けて十分な睡眠をとります。疲れたら昼寝をしましょう。バランスの取れた食事をとります。青みの魚、カルシウムの多い素材は大切です。食後の歯の手入れもしっかりしましょう。病気によりますが、原則として紫外線は避けます。そのためには日焼け止めクリーム、日傘、長袖の着衣が有用です。寒冷刺激も避け、特に冬は風邪にも注意が必要です。また、外傷などの肉体的ストレスや精神的ストレスを症状を悪化させる危険がありますので出来るだけ回避しましょう。 適正体重を維持して、医師に相談しながら適度の運動をしましょう。膠原病があるとかかりやすい病気を理解して予防を心がけましょう(動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症、高尿酸血症、骨粗鬆症、白内障、結核など)。たばこは必ず禁煙し、お酒は少量にします。定期的に通院して薬は指示どおり忘れず飲みます。
民間療法
患者さんの悩みにつけこんで金儲けを企むあくどい商法が後を絶ちません。どんな甘言にも惑わされないようにして下さい。現在膠原病を完全に治す治療法はないことをよく理解して下さい。ステロイドをすぐ止めろと指示する療法、画期的効果を謳う物、高価な物品やサプリメント、極端な精神療法などは疑って下さい。医師は全ての民間療法を否定するわけではありませんので、補助療法として試みたい時は主治医に相談してから始めて下さい。家族や周囲の人の勧めは、たとえ善意であっても患者さんを悩ませ、方向を誤らせる危険がありますので避けて下さい。