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膠原病

Q8シェーグレン症候群とはどういう病気ですか?

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病気について

 涙腺や唾液腺などの外分泌腺が系統的に侵される病気です。この病気は他の膠原病に合併する事が多く、その場合は二次性シェーグレン症候群と呼ばれます。合併がない場合は原発性シェーグレン症候群と呼ばれます。研究班の調べでは、1年間に病院を受療した患者さんは2万人程度とされ、潜在的な患者さんはその数倍から10倍はいると推定されています。原因は不明ですが、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、免疫異常、女性ホルモンの関与が考えられています。

症状について

 主な症状は眼の乾燥と口腔内の乾燥(図14)です。涙が出ない、目がゴロゴロする、目が痛い、口が渇く、唾液が出ない、味がわからない、舌や口内内が痛い、虫歯が多くなった、唾液腺が腫れて痛いなどの症状が出現します。他にも鼻腔の乾燥、膣の乾燥(性交不快感、排尿痛)などもあります。皮膚は汗の出が悪くなり乾燥肌になります。皮膚症状は、堤防状に辺縁が隆起した環状紅斑(図15)と凍瘡(しもやけ)様紅斑が多く見られます。そのほか蕁麻疹、虫刺され様紅斑、脱毛、高γグロブリン血症による小型の紫斑(図16)、レイノー現象、薬剤アレルギー、日光過敏なども見られます。全身症状では、発熱、倦怠感、関節痛、疲労感、記憶力低下、頭痛が多い症状で、その他めまい、集中力低下、気分の変調、うつ傾向などもあります。内臓では萎縮性胃炎、間質性肺炎、末梢神経症、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、間質性腎炎などがあります。まれにリンパ腫を発症する患者さんもいます。診断基準に皮膚症状の項目はありませんが、多彩な皮膚症状が出現します。

治療について

 乾燥症状や皮膚症状を軽快させることと、病気の活動性を抑えて進展を防ぐことが治療の目的となります。眼の乾燥、口腔の乾燥には点眼薬、含嗽薬を使います。膣の乾燥にはエストロジェンの内服やエストロジェン入りのクリームが有効です。皮膚症状に対してはその症状に応じた対策をします。環状紅斑は発熱を伴ったり病勢と相関することがあり、その場合はステロイド薬の内服が必要です。凍瘡様紅斑は末梢循環改善薬と外用剤の軟膏、蕁麻疹様紅斑には抗アレルギー薬の内服、乾燥肌には保湿剤の外用、というようにそれぞれの症状に応じた治療を行います。全身症状や臓器病変のある人はステロイド薬や免疫抑制薬の内服が有効です。

図14 シェーグレン症候群の舌の乾燥
図14
図15 シェーグレン症候群の堤防状に辺縁が隆起する環状紅斑
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図16 シェーグレン症候群でみられる高ガンマブロブリン血症性紫斑
図16

膠原病


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