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膠原病と類縁疾患

Q4原因はわかっているのですか?

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 全身性強皮症の病因は複雑であり、はっきりとはわかっていません。しかし、研究の進歩によって3つの異常が重要であることが明らかとなりました。その3つの異常とは①自己免疫(その結果、炎症が起こり、自己抗体が産生されます)、②線維化(その結果、皮膚硬化や肺線維症などが起こります)、③血管障害(その結果、レイノー症状、指先の潰瘍、肺高血圧症などが生じます)です。全身性強皮症に免疫を抑える薬剤(免疫抑制薬)が有効であることが明らかとなった結果、①自己免疫による炎症が最初に起こって、それが元で②線維化、③血管障害を引き起こすと考えられています。ただ、何故自己免疫が起こるのか、自己免疫による炎症がどのような仕組みで線維化や血管障害を引き起こしてしまうのかについてはまだ十分に分かっていません。しかし、最近の医学の進歩で、ある特定の分子の機能を抑制する、ヒトの抗体から作られた生物学的製剤(抗体製剤)が全身性強皮症に有効である可能性が報告されてきました。その結果、免疫を担当するB細胞と呼ばれる細胞、そして炎症を起こすインターロイキン6と呼ばれる分子が全身性強皮症の発症と密接に関係することが明らかとなってきました。つまり、全身性強皮症ではB細胞が異常に活性化し、その結果自己抗体やインターロイキン6がそのB細胞より産生されます。産生されたインターロイキン6は、線維芽細胞を活性化させ線維化を引き起こすと考えられています。このように生物学的製剤(抗体製剤)を全身性強皮症の治療に応用することによって、全身性強皮症が何故起こるのかという疑問の一端がハッキリと見えてきました。今後さらに生物学的製剤(抗体製剤)が全身性強皮症に応用されることによって、全身性強皮症の病態がさらに明らかとなることが期待されます。

全身性強皮症


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