Q17どんな治療がありますか?
現在のところ、全身性強皮症を完全によくする薬剤はありません。しかし、あきらめないで下さい。最近の進歩によって効果を期待できる治療法が開発されてきました。代表的な治療法として、①ステロイド少量内服(皮膚硬化に対して)、②シクロホスファミドパルス療法(肺線維症、皮膚硬化に対して)、③ニンテダニブ(肺線維症に対して)、④ボセンタン(肺高血圧症、皮膚潰瘍に対して)⑤リツキシマブ(皮膚硬化、肺線維症に対して)、⑥ACE阻害剤(強皮症腎クリーゼに対して)、⑦プロトンポンプ阻害薬(逆流性食道炎に対して)、などが挙げられます。
一方、前述した「限局皮膚硬化型全身性強皮症」では皮膚硬化の範囲も狭く、重い内臓病変もないため症状を抑える治療法(対症療法)が主体となります。しかし、「限局皮膚硬化型全身性強皮症」であっても、逆流性食道炎はしばしば合併しますので、プロトンポンプ阻害薬などを用いて、食道が胃から逆流してきた胃酸によってただれてしまわないようにきちんと治療を継続する必要があります。また指尖部の潰瘍も患者さんによっては生じる場合もありますので、ボセンタン内服などを行うことが必要となります。ですので、軽症型の全身性強皮症でも症状に応じてきちんと治療を継続することがとても重要です。