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膠原病と類縁疾患

Q15これからどのように進行するかが、今の時点で分からないのですか?

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 全身性強皮症の経過は患者さんごとに異なりますので、それぞれの患者さんが将来どのような経過をたどるかを正確に判断することは困難です。しかし、おおよその経過を予測することは可能です。経過を予想する上で一番役にたつ検査は抗核抗体の種類です。症状が比較的軽い、限局皮膚硬化型全身性強皮症では抗セントロメア抗体が陽性になることが多く、一方全身性強皮症として典型的な、びまん皮膚硬化型全身性強皮症では抗トポイソメラーゼ I抗体や抗RNAポリメラーゼ抗体が陽性になることが多いのです。

 ですから、抗セントロメア抗体陽性の患者さんでは、経過はゆっくりであり、皮膚硬化も進行しても前腕までのことがほとんどで、内臓病変も逆流性食道炎は比較的高頻度に起こりますが、肺線維症や強皮症腎クリーゼの合併は極めてまれです。ただ、1%程度に肺高血圧症が発症後十数年から数十年後に生じる場合がありますので定期的な肺と心臓の検査が必要です。

一方、抗トポイソメラーゼ I抗体が陽性の患者さんでは、皮膚硬化は前腕から体幹に及ぶことがあり、肺線維症も比較的高率に伴うことから、典型的な全身性強皮症の経過をとることが多くなります。

 また抗RNAポリメラーゼ抗体陽性の患者さんでは、皮膚硬化は前腕から体幹に及び、抗トポイソメラーゼ I抗体と比較して高度なことが多いですが、10%程度に生じる強皮症腎クリーゼを除いて、重篤な内臓病変は少ないため抗トポイソメラーゼ I抗体陽性の患者さんよりは一般的に軽症と考えられます。

 このように抗核抗体の種類は、全身性強皮症の場合大変重要な情報となりますので、どの抗核抗体が陽性であるのかを知っておく必要があります。

全身性強皮症


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