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膠原病

Q19肺線維症にはどのような治療をするのですか?

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 肺線維症は全身性強皮症の最も重大な合併症です。肺線維症は肺が硬くなるため、人間が生きていく上で必要な酸素を空気中から血液の中に取り込めなくなって、息が苦しくなったり、咳が続いたり、さらに、心臓にも負担がかかったりするもので、全身性強皮症で亡くなられる方の原因として最も多く、約70%以上を占めます。ですから、この肺線維症を良くすることが、全身性強皮症患者さんにとって、とても大切なことなのです。
 肺線維症の治療としては、シクロホスファミドという免疫抑制薬が有効であることが10年以上も前から報告されてきました。しかし、どの報告も科学的な根拠に欠けるもので、本当にこのお薬が有効かどうかは不明でした。そこで、米国とイギリスで、このお薬が本当に全身性強皮症の肺線維症に有効かどうかを科学的に証明する臨床研究が行われました。この方法は二重盲検試験というもので、本物のシクロホスファミドと、偽のお薬(プラセボといい、表面からは見分けがつきません)のどちらかを、無作為に患者さんに飲んでもらう方法で、担当医師も患者さんも自分にどちらのお薬が投与されたかわからないようにしてあります(これを二重盲検といいます)。もちろん、患者さんには予め偽のお薬(プラセボ)が当たるかも知れないという情報を教えてあげて、それに対して同意してもらっています。そして、最後に本当のお薬か、偽のお薬(プラセボ)かどちらが投与されていたかを明らかにして、偽のお薬(プラセボ)と比べて、本当のお薬の方が有効かどうかを判断するものです。
 その結果、シクロホスファミドを投与された全身性強皮症患者さんは、偽のお薬(プラセボ)を投与された患者さんと比較して、肺の機能や咳などの自覚症状が良くなりました。さらに、元来は肺線維症に対して有効性を調べた臨床研究でしたが、皮膚の硬化もよくなりました。このお薬を飲む方法は、内服と点滴(シクロホスファミドパルス療法といいます)がありますが、どちらとも肺線維症に有効であることが明らかとなりました。点滴の方が副作用(血液中の白血球が減ったり、血尿が出たり、女性の場合、生理がなくなってしまったりといった副作用があります)が少なかったため、今では点滴のほうが多く使われています。
 ただし、注意しないといけないのは、このお薬はどの全身性強皮症患者さんの肺線維症にも有効というわけではありません。残念ながら、発症して長い時間が経った古い肺線維症には効果が期待できません。また、現在進行中の肺線維症であっても、その有効性は患者さんによって様々ですので、治療の開始に当たっては、主治医の先生と良く相談することが大切です。

全身性強皮症


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