Q11診断はどのように行われるのですか?
全身性強皮症の診断は、問診、診察、そしていろいろな検査を総合して行われるということをまず憶えて下さい。それは、膠原病に属する全身性強皮症は皮膚だけはなく、体のいろいろな臓器に変化が起こってくるからです。また、問診の時には病気とは関係ないように思えることでも率直に話すようにして下さい。例えば、豊胸術や隆鼻術、特定の仕事と関連して全身性強皮症が発症することがあります。
全身性強皮症という病気は、患者さんごとに病気の重さが異なり、比較的軽い患者さんから典型的な患者さんまで様々です。さらに、患者さんによって合併する内臓病変も大きく異なります。大切なことは、単に全身性強皮症と診断すればそれでよいというのではなく、①全身性強皮症のなかでも軽いタイプなのか、あるいは典型的なタイプなのか、②どの内臓に変化があるのか、そしてそれはどの程度なのか、③その内臓の変化は現在進行しているのかどうか、さらにそれは治療する必要があるのかどうか、という点をはっきりさせることです。このことはその後の治療方針や病気がこれからどうなっていくかを予想する上でも重要なことです。
全身性強皮症の診断の重要なより所となるのが診断基準と呼ばれているものです。わが国では厚生労働省の強皮症調査研究班により作られたものがよく用いられています(表1)。しかし、これら診断基準を用いても、発症して間もない場合や、症状が軽い場合には全身性強皮症と診断できないことがあります。ですから、これらの診断基準は絶対的なものではないことに注意して下さい。診断基準に当てはまらないからといって、全身性強皮症を否定してしまうことは決してできません。
