Q8血管障害とは何ですか?
全身性強皮症ではレイノー症状がその80%以上の患者さんでみられます。レイノー症状とは寒冷刺激(冷凍食品に触ったり、冷たい外気に曝されたときなど)によって手指が白や紫に突然変化する症状です(図5)。
レイノー症状は指の血管が収縮して、血管の内腔が狭くなった結果、血流が低下することによって生じます。また前に述べた線維化が血管にも起こって、血管は硬くなり広がりにくくなって、血流低下を起こす一因となります。指先の血流が極端に低下すると潰瘍ができます。この血管の硬化と血流低下は皮膚だけではなく、内臓にも起こります。例えば肺の血管に起こると肺高血圧症となり、腎臓の血管に起こると血圧が急に高くなる強皮症腎クリーゼと呼ばれる症状となります。また、血流低下を直接表すものではありませんが、指の爪のあま皮の部分に点状の黒い出血点(爪上皮出血点といいます)が全身性強皮症の患者さんでしばしばみられます(図6)。
これも血管障害を反映する症状です。何故全身性強皮症でこのような血管障害が起こるのかについてはまだよくわかっていませんが、恐らく自己免疫に伴う炎症が重要な役割を担っていると考えられています。
指が白くなっています。


