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膠原病と類縁疾患

Q18皮膚硬化にはどのような治療をするのですか?

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 皮膚硬化に対しては、副腎皮質ステロイドの内服が有効です。内服量は20mg/日程度と比較的少量で効果がみられます。ただし、どの患者さんでも有効というわけではなく、効果が期待される目安としては、発症6年以内のびまん皮膚硬化型全身性強皮症の早期例、皮膚硬化が最近数ヶ月~1年の間に進行している症例などが上げられますが、ステロイド内服を行うかどうかは個々の患者さんで慎重に検討する必要があります。通常内服を開始して、数週から1ヶ月程度で皮膚硬化の改善が実感できます。ステロイドは皮膚硬化に有効ですが、副作用ももちろんありますので、主治医の先生とよく相談してから使用する必要があります。

 ステロイド以外の治療法として、リツキシマブという薬剤があります。リツキシマブは免疫担当細胞であるB細胞の表面に存在するCD20という分子と結合しB細胞を体から除去する生物学的製剤(抗体製剤)で、これまで主に悪性リンパ腫の治療に用いられてきた薬剤です。B細胞は、例えば細菌感染で、その細菌に対して抗体を産生し、感染症を治癒させる働きのある細胞ですが、全身性強皮症ではこのB細胞が暴走してしまい、自己抗体を産生したり、サイトカインを産生したりすることによって全身性強皮症の症状を起こしている可能性が考えられています。リツキシマブはこの異常なB細胞を取り除くことによって効果を発揮します。リツキシマブは皮膚硬化のみならず、肺線維症にも効果があります。最近リツキシマブの全身性強皮症に対する有効性を調べた臨床試験が終了し、その有効性が科学的に証明されました。ただ、リツキシマブは抗体を産生して細菌を除去するB細胞を体から消してしまいますので、副作用として感染症の発症には十分な注意が必要です。現在全身性強皮症患者さんに使えるように申請中で、来年(2021年)の後半には保険収載される見込みです。

全身性強皮症


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