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Master of Dermatology(Maruho)
「Master of Dermatology(Maruho)」とは,日本の皮膚科における臨床分野の発展に貢献した皮膚科医師に敬意を表する賞「マルホ賞-臨床皮膚科学への大いなる貢献者達へ-」としてマルホ株式会社が2010
年に創設し,実施してきましたが,2017年度からは「皮膚科の臨床,皮膚科学研究,人材育成,社会貢献
など,日本の皮膚科学の発展に多大なる貢献をした者」をテーマに,「Master of Dermatology(Maruho)」と名称を改め,日本皮膚科学会とマルホ株式会社が共同運営することとなり,現在に至っております.
受賞対象は公募としており,要項については毎年10月下旬から日本皮膚科学会雑誌および本ページに掲載いたします.
Master of Dermatology(Maruho)の受賞者には,副賞として300万円が授与され,受賞年度に開催される日本皮膚科学会総会において授賞式,記念講演を行うこととなっております.
令和4年度 Master of Dermatoloy(Maruho)の受賞者について
令和4年度 Master of Dermatology(Maruho)の受賞者は下記のとおりです.
氏 名 | 所属名称 | 受賞テーマ | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
ふるかわ ふくみ 古川 福実 |
和歌山県立医科大学 名誉教授 高槻赤十字病院 名誉院長 |
ループスエリテマトーデスの皮膚病変に対する発症機序 の解明と治療方法の確立に関する一連の研究 |
(敬称略)
【受賞テーマの要約】
全身性エリテマトーデス(SLE)とその皮膚病変について、その発症機序と治療方法の確立に関する一連の
研究を行ってきた。数種のSLEのモデルマウスの解析の中からFas欠損MRL/lprマウスの皮疹がLEの優れた
モデルであることを見出し、多くの退交配マウスの解析から、皮疹発症に至る遺伝的背景と紫外線などの
環境因子の重要性を明らかにした。ヒトの研究に展開し、皮膚LE患者の無血清培養表皮細胞を用いて中波
長紫外線により高頻度に抗体依存性表皮細胞障害が起こり、臨床的な紅斑が出現することを示した。予防
・治療にあたっては、遮光とともに、タクロリムス外用の有用性やToll like receptorを介して奏功する
ヒドロキシクロロキンの有効性を多施設二重盲検法で実証し、適正使用ガイドラインを作成した。
以上のような成果から、自然および獲得免疫のアンバランスが本症病態の新たなコンセプトとして注目
され、実臨床研究の新たな地平となった。