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Master of Dermatology(Maruho)
「Master of Dermatology(Maruho)」とは,日本の皮膚科における臨床分野の発展に貢献した皮膚科医師に敬意を表する賞「マルホ賞-臨床皮膚科学への大いなる貢献者達へ-」としてマルホ株式会社が2010
年に創設し,実施してきましたが,2017年度からは「皮膚科の臨床,皮膚科学研究,人材育成,社会貢献
など,日本の皮膚科学の発展に多大なる貢献をした者」をテーマに,「Master of Dermatology(Maruho)」と名称を改め,日本皮膚科学会とマルホ株式会社が共同運営することとなり,現在に至っております.
受賞対象は公募としており,要項については毎年10月下旬から日本皮膚科学会雑誌および本ページに掲載
いたします.
Master of Dermatology(Maruho)の受賞者には,副賞として300万円が授与され,受賞年度に開催される日本皮膚科学会総会において授賞式,記念講演を行うこととなっております.
令和6年度 Master of Dermatoloy(Maruho)の受賞者について
令和6年度 Master of Dermatology(Maruho)の受賞者は下記のとおりです.
氏 名 | 所属名称 | 受賞テーマ | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
いわつき けいじ 岩月 啓氏 |
福島労災病院 岡山大学名誉教授 |
EBウイルス関連皮膚疾患の病態解明: 症例から学んだ新たな疾患スペクトラム |
(敬称略)
【受賞テーマの要約】
我々は小児の光線過敏症である古典的種痘様水疱症がEBV感染γδT細胞によって発症することを発見した。二十余年の継続研究から、種痘様水疱症、重症蚊刺アレルギー、慢性活動性EBV病(CAEBV)、血球貪食リンパ組織球症などが類縁のEBV関連T/NKリンパ増殖異常症であることを解明し、その疾患概念はWHO分類に採用され、他科と共同して診療ガイドラインを作成し、指定難病承認に向けて準備を整えた。
我々が開発した痂皮を用いた非侵襲的検査法(国際特許取得)は、同一試料でEBVのほかHSV, VZV感染の
鑑別が可能で、国内や発展途上国から送付される痂皮試料の診断的検査に貢献してきた。教室に保存されたDNA検体は、EBV感染細胞のドライバー変異解析やウイルス由来miRNA産生領域のEBV遺伝子欠損の特定など、病態解明に寄与した。症例レジストリによる当該患者の予後解析と層別化により、病態に適した治療薬開発が次の目標であり、診療領域を超えた国際研究が始まった。